コラム
世界情勢
2020.05.22
『コロナショックとリーマンショック』
コロナショックが起こってから数か月が経過
し、緊急事態宣言も次第に解除されつつある
状況ですね。
実体経済への影響はまだこれからも続きそう
ですが、株式市場については現状どのような
状況になっているのでしょうか。
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経済指標の中でも注目度の高い米国の
『S&P500株価指数』を見てみると2月から
3月にかけて32%下落(3,380ドル→2,300
ドル)しました。
そして現在、わずか2ヶ月で2,900ドルに
回復してきております。(半値戻し)。
米国では失業率がリーマンショックを超えた
という報道がありましたので意外な気がしま
すが、株式市場ではメディアで報じられてい
るほど先行きを深刻に見ていないのかもしれ
ません。
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リーマンショックの時、『S&P500』はどの
ような動きをしていたかというと最大57%
下落しています。(2007年10月1,565ドル
→2009年3月676ドル)
そして半値戻しまでは1年2ヶ月かかりまし
た。暴落前の高値に戻るまでには5年2ヶ月
かかっております。
いかにリーマンショックのインパクトが大き
かったかが数字に表れています。
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ではリーマンショックとの違いにはどのよう
な点があるのでしょうか。
これには当時話題になった『サブプライムロ
ーン』に関係があるようです。これは返済能
力の劣る人のための住宅購入用途ローンです。
危険な香りがしますよね。
当時はこの『サブプライムローン』への投資
を証券化し金融商品にしていました(;^_^A。
これに対する信用不安(当然!)が発端で価
格が下落し影響が甚大になってしまったのです。
それに比べて現在では住宅ローンの質が向上し
サブプライムローンの様な悪質なローンが無く
なりました。
大半の物件所有者は価格の下落に耐えられる十
分な資産を保有しており、住宅を売ってローン
を返済する必要がありません。
しかも米国政府により住宅ローンの返済猶予も
おこなっています。このため差し押さえ等によ
るドミノ倒し的な住宅価格下落に波及すること
は限定的だとみているようです。
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グローバル化された現代では世界の影響を多大
に受けます。そのような状況下では影響力の
大きい米国の状況を知っておくことはとても
重要な事です。
日経平均株価も上がっておりますので、実体経
済との乖離があるなぁと私も感じるところでは
ありますが、そこで思考停止せずに何が起こ
っているんだろうと少し踏み込んでみると見え
てくることがあるかもしれません。
永井教盟
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