コラム
経済
2021.09.10
10人の国
私は経済の仕組みをお伝えするときに、よくこのお話をします。
考え方をお伝えしたいだけなので非常にザックリとしておりますが、一度『細かいことは抜きにして』考えてみてください。
こういった経済の基本的な事を頭に入れておくとご自身の資産運用を考えるときにも非常に役に立ちます。
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もし10人の働き者の国があったら
10人で新しい国を作りました。10人はそれぞれが手に職を持っています。
中央銀行(日本でいうと日本銀行)がお金を発行しました。単位はわかりやすく『円』にしておきます。
まず、一人ひとりに500万円ずつ支給しました。10人なので5000万円のお金を発行したことになります。
これで1年間、経済活動を行っていきます。
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1年間で全て使い切り、すべてに平等に生き渡ったら
1人500万円ずつをちょうど使い切り、それぞれの商品、サービスの対価としてそれぞれが500万円を受け取ったとします(現実にはありませんが)。
そうするとこの国の『GDP(国内総生産)』は5000万円になります。
ちょうど一回転しているので銀行が発行したお金とGDPが一緒になっています。
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景気が良い状態
例えば、上記の経済活動が1年間ではなく半年間で行われたとしたら・・・。
5000万円が2回転するわけなのでGDPは1億円になります。
中央銀行から発行されたお金は同じ5000万円なのに『お金の回転が良くなった』ことによりGDPは2倍になりました。
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景気が悪い状態
では、反対に悪い場合。同じように5000万円分発行されたお金を100人に500万円ずつ支給。
しかし、みんな今後の心配をしていました。不安なので半分を貯金してしまったのです。
500万円のうち250万円を貯金して残りの250万円を上記のように使いました。
250万円×10人でGDPは2500万円。景気が良い状態の半分のしかGDP稼げませんでした。
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お金は無くならない
お金を使うと自分の資産からは使った分が減りますが、経済全体からみると『お金が移転しただけ』で消えて無くなくなることはありません。
中央銀行が出したお金(マネタリーベース)は5000万円で変わらないのですが、経済活動が回れば回るほど経済活動の指標であるGDPはどんどん増えていきます。
また、『不景気』とはお金そのものが消えてなくなるようなものではなく、お金の巡りが悪くなった状態を指します。
これは経済活動と結びつきが深い『株式市場』にも同じような事が言えます。
株式市場に流れていたお金が景気の冷え込みを受けて株価が暴落したとしても、そのお金は他の所に移転しただけなのです。
その多くは安定資産である『債券市場』に移転されます。
そしてまた景気が底打ちして、これからどんどん景気が良くなることが予想される場合には『債券市場』から『株式市場』にお金が流れてきます。
これは単純に景気が良くなれば『債券』よりも『株式』の方が儲かるためです。
こうして順繰り回っていき、人口増加、経済発展とともに世界経済、世界株式市場は多少へこむことはあれど、右肩上がりで上がっていくのです。
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永井教盟
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