コラム
お金に関して
2021.10.22
1ドル114円に 円高?円安?
今回は為替についてのお話です。
日本において最も重要視されている為替は世界の基軸通貨でもある『米ドル』とのものになります。
現在、ドル円の為替レートは1ドル114円~115円ほどで取引されております。
ついこの間までは1ドル110円ほどだったのですが1ドル114円になった現在の状況は『円高』になったのか、それとも『円安』になったのか、どちらかお判りになりますか?
答えは『円安になった』です。
110円から114円になったのに何で『円(安)』なの?という声が聞こえてきそうですね(;^_^A とても間違えやすいところです。
これは『この間まで1ドルを110円で交換出来ていたのに、円の価値が安くなったので1ドルに対して114円ださないと交換してくれなくなった。』ということを意味します。
『円の価値が安くなったので円安』なのです。
この円高、円安はその数字単独で判断出来るような『絶対的』なものではなく、『相対的』な見方をするものなので軸となる比較対象が必要になります。
例えば『1ドル100円』を軸として『1ドル120円』は円安、『1ドル80円』は円高となります。
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ちなみに過去15年の為替の状況を見てみると最安値は2015年6月の1ドル125.7円、最高値は2011年10月の75.8円でした。
歴史を紐解くと戦後から1973年(昭和48年)2月に変動相場制に移行するまでは『1ドル360円』での固定相場制となっていました。
変動相場制に移行してからは経済成長を背景に一貫して『円高』が進んできました。
この間、円の国際的なレベルでの価値はどんどん上昇し続けてきたという証拠でもあります。
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そして、為替にまつわる大きな出来事として1985年9月にニューヨークのプラザホテルで行われた『プラザ合意』があります。
そのころ、アメリカは行き過ぎたドル高で巨大な貿易赤字を抱えていました。
そのためドル高を抑制しようと参加各国に外国為替市場に協調介入すること呼びかけました。
この発表後、それまで1ドル235円ほどだったドル円相場は、翌年には150円にまで円高ドル安が進み、その目的は達成されました。
この出来事は『バブル景気』のきっかけになったとも言われています。
・・・当時、私は6歳。全く知る由もなかったのですが、こんなにも為替が動いていた激動の時代。考えるだけでも恐ろしい(◎_◎;)
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また、円安になると輸出するときの商品価格が安く抑えられるため競争力が上昇し、企業は利益を出しやすくなります。
日本経済は輸出産業が支えている割合が多いので、円安に動くと日本の株式市場は高くなる傾向があります。
しかし円安が行き過ぎると輸入で入ってくるものの値段が上がるため物価が高くなっていきます。
海外旅行に行くにしても費用が高くなりますので良いことばかりではありません。
反対に円高になると日本市場の株価は下がる傾向がありますが、輸入品が安く買えるようになるのでスーパー等で『円高還元セール』が行われたり、海外旅行にも安くいけるようになります。
どちらも一長一短あるのでほどよくバランスの取れたところで推移してくれることが一番好ましいところであります。
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金融投資でいうと、ドル円については『円高』の時にドル資産を購入し、『円安』の時に売却できると利益が大きくなります。
手元にある100万円を『1ドル80円』の時に購入すると『12,500ドル』分購入できます。
その『12,500ドル』を『1ドル120円』の時に売却すると150万円になります。※為替手数料、税金等は考慮していません。
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学生の頃は近現代史にあまり関心がなかったのですが、今につながる重要な出来事を紐解いていくと結構面白い発見があります。
むしろ、今の方が楽しみながら勉強している感じがします(*^^)v
永井教盟
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